2026年度LOMスローガン

我武者羅につなぐ
~関係的価値を再生しよう~

第62代理事長 堀 将徳

【はじめに】

私たち福知山青年会議所は、1964年の創立以来、「明るい豊かな社会」の実現をめざし、地域の未来を切り拓く運動や活動を積み重ねてきました。先輩諸氏が歩まれたその道には、時代ごとの課題と真摯に向き合い、志をもって地域に向きあい続けてこられた歴史があります。そして今、私たちが生きるこのまちは、人口減少という現象の中で、地域活動の担い手不足や若年層と地域社会との関わりの希薄化といった課題が顕在化しています。こうした課題の根底にあるのは、少子高齢化や暮らしの多様化、価値観の変化といった社会の大きな流れが、人と人の距離感を変え、その結果として地域のつながりの力を弱めてきていることにあるのではないでしょうか。人と人との関係性こそが、地域の豊かさを伝える大きな土台の一つになります。私は、いま一度このまちに必要なのは、関係性そのものに目を向けることが大切だと考えます。誰と、どうつながり、そのつながりがどのような意味と価値を見出すのか。それこそが、私たち福知山青年会議所が次の時代においても地域に果たすべき使命であり、存在意義なのだと考えます。だからこそ、本年度の福知山青年会議所はすでにある関係に甘えることなく、新しい関係を恐れず、時に意見を交わしながらも心を開き、我武者羅につながりを強化していきます。「我武者羅」とは、ただ後先を考えずに走り続けることではなく、飽くなき探求心をもって、物事を追求していく姿勢です。そしてその追求の対象は、人と人との関係をいかにつなぎ直すかということに他なりません。ここにこそ、地域の「関係的価値の再生」へとつながります。

【地域社会に求められる役割と価値】

地方都市における人口減少や少子高齢化の進行は、住民の暮らしに深く関わる地域コミュニティの機能に大きな影響を及ぼしています。これまで地域のつながりを支えてきた自治会や地域団体の役割は大きく、相互扶助の基盤として機能してきましたが、時代の流れのなかでその土台が揺らいでいるのも事実です。特に若年層を中心とした地域活動への参加意欲の低下や、単身世帯・移住世帯の増加により、地域との関わり方がわからない、関われる場がないといった声も散見されます。いま、このまちに求められているのは、人や取り組みの芽を見つけて育て、そのつながりから新しい動きをつくり出すことだと考えます。私たち青年会議所には、世代や所属を超えたネットワークと行動力があります。その強みを活かし、この地域内に息づく人・団体・取り組みをつなぐと同時に、地域外とも積極的に連携をおこない福知山の魅力を広く発信し、外からの新しい風を取り込むことが必要だと考えます。そうした動きこそ、青年会議所が果たすべき役割であり、存在意義です。ただし、ここでいう連携とは、価値そのものを磨くことではなく、価値を発揮できる人や取り組みをどうつなぎ、広げていくかということです。私たちは、その役割を担う地域連携のハブとしての機能を確立します。福知山青年会議所は、地域と共にある組織であり、共に悩み、考え、行動する存在でありたい。このまちで、青年会議所が本当に必要とされる組織となるための第一歩を、全力で踏み出してまいります。

【地域に根ざす魅力を次代へ】

福知山には、このまちならではの風土があります。歴史ある城下町としての文化、丹波と丹後をつなぐ交通の要衝としての役割、そして四季折々の自然と田畑の作業や祭りなど人々の日常が織りなす豊かな暮らし。それらはすべて、先人たちが長年にわたって育んできたこのまちのかけがえのない価値です。しかし、現代の私たちは、その価値にどれだけ気づき、誇りを持てているでしょうか。生活の変化や情報の急速な広がりのなかで、身近にある大切なものが見えにくくなっているように感じます。だからこそ、まちに眠る価値を再発見し、市民の皆様や市外から訪れる人々にも「福知山らしさ」として伝えていくことが、今の私たちに求められています。それは、新しい資源を探し求めるのではなく、すでにこのまちに息づく価値を掘り起こし、その魅力を丁寧に磨き直し、次の世代へと確かなかたちで引き継ぐための大切な一歩だと考えます。たとえば、空き家も、ただの古い建物ではなく、工夫次第で地域資源へと変わる。かつて賑わいを見せた商店街や、市民の手で守られてきた伝統行事も、そのままにしておけば風化していくかもしれませんが、視点を変えれば、まちのアイデンティティをかたちづくる宝としての可能性を秘めています。まちの価値とは、観光資源や特産品だけではありません。そこに暮らす人の想いや取り組み、地域に根差した文化や記憶、日々の営み、それらすべてが福知山というまちの個性であり、人と人を結ぶ力の源泉です。私は、その価値を目に見える形で表し、地域全体に誇りを生み出す流れを起こすことが必要だと考えます。福知山というまちのらしさをあらためて見つめ直し、未来に伝えていく。そんな挑戦を、率先して進めていきます。

【人と人との関係が、地域の未来を築く原動力に】

まちの土台を形づくっているのは、制度やインフラだけではなく、そこに暮らす人と人との関係性です。顔と名前がわかる関係、挨拶が交わせる関係、困ったときに頼り合える関係。そうした日常のつながりが、地域の温もりを育み、安心して暮らせるまちの風景をつくり出しています。今、福知山に限らず多くの地域で、このあたりまえだと感じていた関係が失われつつあります。地域の行事や自治活動への参加は減少し、ご近所づきあいや世代を超えた交流の場も少なくなりました。核家族化やライフスタイルの変化によって、家庭の中での孤独感も見過ごせない課題となっています。そして何より、子育てや介護、心のケアといった現代的な悩みを、誰にも言えずに抱え込む人が増えています。声が届かない、誰にも届けられない、そんな「見えない孤立」が、地域の中で静かに広がっています。人は誰しも、誰かとつながることで、前を向く力を得ます。何気ない会話が救いとなり、温かなまなざしが背中を押す。そうした日常の関係性こそが、人の生きる力や地域の活力の源ではないでしょうか。だからこそ、つながりの再生に向けた環境づくりを通して、人と人とが関わるきっかけを生み出していきます。出会いの場、関わりの場を生み出し、それを一過性のものではなく、継続可能な関係性の仕組みとして地域に根づかせていく。そうした取り組みの積み重ねが、地域にとってかけがえのない居場所とそこで育まれる誇りをつくるのだと、私は信じています。青年会議所には、地域社会の無関心や分断に立ち向かい、人と人とをつなぐ役割があります。私たちが起点となり、日常の中での小さな対話や心のふれあいを取り戻していくことが、未来への礎になると信じています。そんな一歩を地域と共に歩み出していきます。

【支えるという誇り、つなぐという矜持】

 青年会議所が本来持つべき魅力とは、ただ地域の課題に向き合うだけでなく、そこに関わるメンバー一人ひとりが自分の成長を感じられる場所であることだと考えます。仲間と熱い想いで語り合い、本気で挑み、自分が成長する実感を得る。その連続が、まちに価値を届ける運動へとつながっていくのだと信じています。しかし、今私たちの組織には、少しずつその熱量が薄れているように感じる場面があります。特に、事業を支える仕組みや会議体のあり方が形骸化し、メンバーが負担に感じている現状も否めません。本来、やりたいことがあって、その情熱を形にし、仲間に伝えるための運営であったはずです。その趣旨が、少し取り違えられてしまっているのではないかと感じています。だからこそ、日々の積み重ねの中で、運営の仕組みや会議の場づくりに、丁寧さと志をもって向き合う姿勢が、いま最も大切だと考えます。仲間の情熱を信じ、見えないところにこそ想いを込める姿は、何よりもこの組織への信頼を支える力になります。そこに、青年会議所らしさが宿ると、活動を通じて実感しています。また、青年会議所ならではのスケールメリットも、改めて見直していきたい。広域のネットワークに触れることで、自分たちのまちを客観的に捉える視点が育まれ、市外との関わりが地域への還元につながっていきます。その流れを可視化し、共有する工夫があれば、メンバーはもっと青年会議所の価値を実感できるはずです。青年会議所に関わることで、自分の成長を感じ、仲間と力を合わせて成果を生み出す。その手応えが、まちをより良くできているという実感を与え、やがてこのまちを誇りに思えるようになります。だからこそ、仲間を信じ、組織の輪郭を明確にする取組みが、まちからの信頼を築く礎になる。その信頼の積み重ねが、やがてこのまちに誇りを生み、そして私たちが次代へとつないでいく矜持となると信じています。

【結びに】

福知山青年会議所は、1964年の創立以来、地域に根ざし、先輩諸氏の志と挑戦を積み重ねながら歩みを刻んできました。本年度は、その誇りを胸に、時代の変化を見据え次の世代に求められる価値を築き、仲間とともに未来を切り拓いていく決意です。そして、家庭から地域へ、地域から社会へと広がる運動を展開します。その想いを受けて、私たちは福知山のまちにおいて関係的価値を再生することを誓います。便利さや効率が優先される時代だからこそ、人と人とが信頼や共感で結ばれることが、安心と幸福をもたらす原動力になると確信しています。青年会議所は、地域のために挑戦するなかで、自らを磨き、成長を実感できるかけがえのない場です。その経験が、会員一人ひとりの成長につながり、社業の成長と発展にも直結します。さらには、地域経済の力を高めていきます。私は、この個の成長から組織、そして地域へと広がっていく循環こそが、JC運動の真の価値であると信じています。「我武者羅につなぐ」この言葉に込めた情熱は、既存の関係を超え、新たな関係を紡ぎ、失われつつあるつながりを再び息づかせる強い意志です。その姿勢を貫くことが、青年会議所の社会的価値を示し、地域から必要とされる存在へとつながっていくと確信しています。本年度が、会員一人ひとりにとって誇りとやりがいを実感できる一年となるよう、理事長として真摯に向き合い、全力を尽くしてまいります。